コンピテンシー面接例

面接において、自社で活躍できる人材かどうかを「見抜く」ためには、コンピテンシー面接が有効ですが、コンピテンシー面接を成功させるためには、いくつかの不可欠な要件があります。
まず1つめは、自社の評価基準が明確になっていて、面接官がそれを理解していること。この評価基準というのは、一般的に優秀かどうか?ではなく、自社で成果を出すための能力として定義されている必要があります。
2つめは、面接官の質問スキルがあること。成果を出すための能力、つまりコンピテンシーの高低を判断するために、短時間に効率的に面接を進めるための質問スキルを磨く必要があります。
コンピテンシー面接の質問スキルは、過去の経験を掘り下げるスキルといっても過言ではありません。以下に2通りの質問事例を挙げています。違いに注目して参考にしてみてください。

会社の設定

機械メーカー A社

設立20年を迎える機械部品メーカー。従業員数は300名。
商品そのものの市場が飽和状態にあり、コンサルティングサービスを組み合わせた新しいビジネスモデルを構築。これまでの短期決戦の営業ではなく、顧客に深く入り込む提案型営業にシフトをしている最中。
来春の新卒採用は、営業職のみ10名の採用予定。
求める人物像は、顧客の目線になって考えられる人、主体的に周囲を巻き込みながら問題解決の出来る人。

コンピテンシー

関係調整力
営業職として顧客の懐に入り込んで関係構築ができる能力。 良い提案のために、社員を巻き込んでいける力。


学生プロフィール 履歴書、エントリーシートの記載内容

△△大学経済学部経済学科 

学生時代に力を入れたことは、英語サークルでの活動。同期だけで100名もの学生が在籍している大規模なサークルにおいて、幹部職部を活性化し、まとめていくことに力を注いだ。

自己PR

粘り強さとリーダーシップ

一般的な面接

○○さんは大学時代に英語サークルでがんばっていたのですね。

はい。英語サークルでは、幹部として部をまとめることに力を注ぎました。100名という大人数の部員の方向性や意思をまとめることはとても難しかったですが、やりがいも同時にありました。

100名の中での幹部、ということですが、自分から立候補したのですか?

はい。自ら手をあげました。

部長とか、・・・そういう役職ですか?

いえ。私の役職は総務といいまして、裏方で部長の補佐をし、部員をまとめるという役職でした。個人的に部員と話をして、部員の意見をよく聞くなどの活動が多かったです。非公式の場で、ご飯を一緒に食べたり、遊びに行ったりするときに現在の活動における、悩みや課題について聞いていました。

なるほど。○○さんは面倒見が良い方なんですか?

どちらかというと、そうだと思います。人のサポートをすることが向いていると思いますし、自分でも好きなんだと思います。

ところで、なぜ英語サークルに入ったのですか?

そうですね。直接の理由は、入学したときの勧誘がきっかけで入るのですが、自分でも学業以外のことにも何か力を入れたいと思っていましたので。

うちには英語を使える仕事は無いですが、なぜ志望されたのですか?

はい。英語という点ではビジネスレベルではないので、その点は重視していません。御社を志望しましたのはホームページを拝見し、今後は機械部品を作るだけでなく、提案型の営業を強化していくというところに、大変興味を持ちました。私は小さいときから時計やラジオを分解して中の部品を見るのが好きでしたし、また、営業職の中でもお客様と深く付き合える仕事をしたいと思っていましたので、自分のやりたいことが出来ると思い応募しました。

そうですか、将来はどんな社会人になりたいと思いますか?

そうですね。人から信頼される社会人になりたいと思います。部活動でも、私は幹部として信頼されるために、小さなことでも約束を守る、普段からコミュニケーションをよく取る、ということを心がけてきました。御社に入ってからもこの経験を生かしてさらに成長していきたいと思います。

そうですか。よくわかりました。では面接はこれで終了します。ありがとうございました。

一般的に多いタイプの面接例がこのようなものですが、「関係調整力」は確認できたでしょうか?

評価リスト

あるいは、こんな意見もあるかもしれません。

評価リスト

いろんな評価結果があると思いますが、どれも当てはまるような気がします。 では次のような面接を行った場合はいかがでしょうか?以下はコンピテンシー面接の実例です。

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過去の経験を掘り下げる面接

○○さんは大学時代に英語サークルでがんばっていたとのことですが、詳しくお話いただけますか?

はい。英語サークルでは、幹部として部をまとめるということに力を注ぎました。100名という部員の方向性や意思をまとめることはとても難しかったですが、やりがいも同時にありました。

幹部として部をまとめられたとのことですが、具体的にはどういう役割だったのですか?

はい。いえ。私の役職は総務といいまして、裏方で部長の補佐をし、部員をまとめるという役職でした。個人的に部員と話をして、部員の意見をよく聞くなどの活動が多かったです。非公式の場で、ご飯を一緒に食べたり、遊びに行ったりするときに現在の活動における、悩みや課題について聞いていました。

なぜ、総務という仕事を担当されたのですか?

はい。同じ総務の仕事をしている先輩のようになりたいと思ったからです。
 

なぜ、先輩のようになりたいと思ったのですか?

先輩は前面に立って活動する職ではないのですが、裏方で部の活動を支えていて、それでいて部員から信頼を得ていました。そういう先輩の姿が尊敬できると感じたからです。また、幹部といえども、部員と同じ目線で一緒がんばりたいという気持ちがありました。部長でいると少し遠い存在に思われてしまうかなと感じていて、部員と近い距離で活動したいと思ったからです。

なぜ部員同じ目線、近い距離にいたかったのですか?

「なぜ?」を繰り返して質問することにより、本質的な行動の背景や理由が見えてきます。

部員が多くなるにつれて、幹部と幹部じゃない部員の間に壁ができてしまって、それをどうにかできないかなと思っていたからです。そのためには、自分が部員に近い距離にいる必要があると思いました。

壁というと、具体的にどのようなことがありましたか?

エピソードは、できるだけ「具体的に」質問し、候補者の行動、考えがリアルにイメージできるまで掘下げます。

幹部会議で意思決定されることが多いのですが、その決定までのプロセスが不透明だ、部員の意見を本当に聞いてくれているのか、といった意見がありました。

そのような話を聞いたとき、どう感じましたか?

そのような壁ができてしまったことを残念に思いました。それから、どうすれば改善できるかなと思いました。組織が大きくなったのは良いことなのに、そのよさを生かすどころか、組織力を弱めてしまっていると感じました。

総務として、改善のために何か実行しましたか?

考えや理由も重要ですが「実際に行動した事実」を掘下げることで、評価がしやすくなります。

はい。透明性や公平性を重視すべきだと思い、意思決定までのプロセスを部員に対して詳しく述べるようにしました。それから・・・部員の話をよく聞く必要があると思い、個人的に部員と話をする機会を作りました。

部員の意見を聞く目的は何だったのですか。

その声を、部の活動方針や方向性に反映させることが目的でした。部員の数が多くなったので、部会などの公式の場だけでは全部員の意見を聞くことができなくなり、より多くの部員の意見を聞きたいと思ったからです。

具体的にどんなエピソードを聞くことができましたか?差し支えの無い範囲で教えて下さい。

そうですね・・・。実際に活動をしているけれども、読み書きの勉強だけでなく、もっと部という場を活かして何かしたいという気持ちがある部員がいました。しかし、自分では何をすれば良いかわからないという状態でした。

それで○○さんはどうされたのですか?

ここでも、候補者が「実際に行動した事実」を掘下げています。

その話を幹部会議に出し、話し合いました。部員の意見を反映させた活動にし、より活性化するためにはどうしたらいいのか?について議論しました。

議論の結果、どのような結論に至ったのですか?

はい。そこで、ランチトーキングをしようという提案をしました。ランチトーキングとは、毎日お昼を食べながら英語だけで会話をする機会を提供するというものでした。誰でも出入り自由で、特に意欲のある部員はよく参加してくれました。毎週曜日を決めて必ず開催するようにしたところ、常に10人くらいの人が参加をしてくれました。

ランチトーキングをやってみての成果はどうでしたか?

具体的な行動を起こした後の、成果、周囲に与える影響も確認しましょう。

部員はみな、少人数で英語を話すという機会ができてうれしいと言っていました。全員参加というわけにはなかなかいきませんでしたが、部活をもっと活性化したい、と思っていた人たちからの不満は聞こえなくなりました。

他にも、部活で力を入れたことがあればお話して下さい。

一つのエピソードを掘下げた後に、他のエピソードについても質問することで、能力の発揮度の継続性や安定性を確認できます。

はい、夏合宿の計画・実行です。部員全員が参加する大きなイベントがあり、その企画と運営に力を注ぎました。合宿は3泊4日で、英語能力の向上という目的を果たすために、3日間日本語はしゃべらず、英語だけで生活するという合宿でした。部員の中には、いろんな意見がありましたので、まず計画段階で部員をまとめるということが大変でした。

具体的にどういう点が大変でしたか?

はい。合宿の計画を幹部が部会に提出し、それについて部員全員の承認を得なければならないのですが、中にはモチベーションの高くない部員から、その3日間を英語だけで過ごすのではなく、もっと楽しい合宿にしたい、他のイベントもやりたい、といった意見が出ました。その人たちに納得してもらうことがとても大変でした。

どのようにして納得してもらったのですか?

はい。部の目的や存在意義をもう一度考えてもらいました。なぜ私たちの部は存在しているのか、それは英語を勉強するためであって、遊ぶことが目的ではないということをしっかりと伝えました。そして、この合宿を通じてどういう成長ができるかということを話しました。時間はかかりましたが、納得してもらうことはできました。

その部会の中で、○○さんが実際に行ったことは何ですか?

はい。私は総務でしたので、部会の開催にあたっての準備やアナウンスを担当しました。
また、部会の司会も担当しました。部長が幹部の代表として話をしますので、私自身は意見を言わず、部会を意義あるものにするため、公平に意見が出るように部会を進行させることに注力しました。それから、部会の前に幹部会を開くのも私が担当しました。部員とのやりとりにおいて、幹部として意見がまとまっていなければ、全体がバラバラになってしまうと思い意見調整のために実施しました。

それは、○○さんの発案ですか?

はい。一つ上の先輩たちはそういうことをやっていなかったのですが、時々意見の食い違いがありました。自分達の代では、そういうことの起こらないよう、部長に提案して受け入れてもらいました。

幹部会を開いてみての、成果はどうでしたか?

幹部としての結束が強くなったこと、それから、一方で先ほど申し上げましたように部員からの意見を聞く場面も同時に設けたこともあり、部員からの不満は徐々に減っていったと思います。任期が終了したときに部長や部員から感謝の言葉をもらったときは、いろいろ考えながらやってきて良かったと思い、大きな達成感を得ることができました。

そうですか。よくわかりました。ありがとうございました。

さて、今度はいかがでしょうか?詳しく質問することで、詳細な行動特性が見えてきました。
評価はどのようになるでしょうか?

少なくとも、関係調整力が有り無しで言うと、確実に有るようです。

このように、何を評価するかを決めて具体的な言動について質問を重ねていくと、評価がしやすくなります。一見、「英語サークルでの幹部職」というと、強いリーダーシップをイメージするかもしれませんが、上の例では、派手ではないが、組織を下から支えるのに必要なコミュニケーション力や調整力があることが見えてきます。候補者が何を目標にし、どのような成果をあげるために、どのように人を巻き込みながら行動を起こしたか?ということを詳しく質問することで、その人の本質的な能力の発揮度の高さを知ることができるのです。

ちなみに、関係調整力以外では、以下のようなコンピテンシーが垣間見られましたので補足としてご紹介させていただきます。

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